予想を上回る数のご投句をいただき、たくさんの「おでん川柳」に囲まれながら選句をさせていただきました。全体的には、その美味しさを伝える内容や、おでん鍋を囲む笑顔が見えてくる作品が多く「おでん」の共通するイメージを膨らませて幅広く詠んでいただけたように感じます。
美味しさを表現したものには、好きな具材を詠んだもの・ふるさとで食べた思い出の味・愛する人が作ってくれた場面など多く見受けました。また、おでんを囲む笑顔の様子をとらえたものには家族・恋人・会社の仲間・・・といった身近な人とのあたたかな時間を背景にしたものが数々ありました。「おでん」の魅力が、みなさんそれぞれの目線でうまく川柳にまとめられた印象を受けました。
選考ポイントはまず川柳の基本の17音を守っている事、そしてテーマである「おでん」が句の中心に描かれているかどうか。それに加え、作品全体の言葉のまとまりなどが挙げられます。
その中で、大賞の作品「のぞき込み宝探しのおでん鍋」(作本さん)は、とにかく言葉の選び方が良かったと思います。上五の“のぞき込み”からはあつあつの湯気に包まれながら顔を近づけている表情が手にとるように分かります。お出汁の美味しそうな良い匂いまでも漂ってきそうです。そして、「さあ、どの具材からたべようかな!」とわくわくした楽しい気分を“宝探し”と表現され、誰にでも共感できる一句になっています。簡単に詠めそうで詠めない、絶妙な「おでん川柳」ではないでしょうか。
やすみりえ